副農場長の高橋です。
今回は一富士農場で使用しているUモーションを紹介します。
乳牛を飼養し搾乳するうえで何よりも大切なことが種付です。そもそも牛乳は本来自らの子牛に飲ませるためのものであり、
現代の品種改良の進んだ乳牛であっても妊娠し出産しない事には牛乳を搾ることはできません。
牧場で飼養しているホルスタインは大体21日周期で発情し、そのタイミングに合わせてAI(人工授精)をしてやらなければ妊娠しません。
しかし21日周期と言っても必ず全頭が同じように発情するわけではありませんし、牛の体調によって数日前後することやうまく発情が来ないこともよくあります。
以前の牧場では目視(発情した牛は他の牛に乗ったり乗られたり歩き回る)や歩数計を牛に付けて発情を発見していました。
しかし常に牛をチェックするわけにもいかずどうしても見逃しが出てしまっていました。
そこで去年から牧場ではUモーションという機械を導入しました。わかりづらいですが写真の牛の首に付いているベルトの一番下にある黒い機械です。
このUモーションは牛がどのように動いたかをモニタリングし自動でデータとしてまとめてくれます。
そのため発情発見だけでなく歩数計だけでは分かりづらかった牛の体調の変化などもわかるようになりました。
画面の上部は牛の発情指数を表していて、発情中の行動が増えるとこの値が跳ね上がります。そして数時間ピークを維持した後急激に下がります。
このグラフを見ながら最適なタイミングでAIをできるようになりました。
画面の下部は時間帯ごとの牛の行動を詳しく示しています。緑や黄色は歩いたりエサを食べたり牛が動き回っている時間、灰色は止まっている時間で
発情すれば緑が増え、体調が悪くなりエサを食べなかったり動くのを嫌がると灰色が増えます。
これらの変化を常にモニタリングすることで500頭すべての発情や体調の変化を24時間モニタリングすることができます。
人手不足や長時間の作業など農業をやっていくうえで大変な部分が科学の進歩によって解決できるようになってきています。
これらの技術をうまく使い人にも家畜にももっと良い牧場にしていきたいと思います。